The Gypsy Tails Vol.1

むかしむかし、かの王の時代のこと。
都市への侵攻を繰り返すオーク族の軍勢と、それを裏から支援するミナックスに対抗するため、ブリタニアは総力を挙げて戦っていた。
その戦役は長く続き、多くの命が失われたが、ミナックスの力の源となっていた不滅の宝珠の破片を、かの王自身が奪うことに成功し、短い間ではあったものの、ブリタニアに平和な時が訪れることとなった。

さてその頃、ミノックの南に一人の若い鉱夫が住んでいた。
ある夏の晩、誰かが彼の家の玄関をノックした。
「旅の途中で日が暮れてしまいました。どうか一晩泊めてもらえませんか?」
若者がドアを開けると、そこには見たこともないような美しい女性が、疲れ果てた様子で立っていた。
「え、ええ。このようなあばら家で良いのでしたら、どうぞ休んでいって下さい。」
人見知りな彼のもとを客が訪れるのは、久しぶりの事だった。
豪華とは言えないまでも、心を尽くした手料理で彼は旅人をもてなした。
食事を終えた旅人は人心地ついたようで、改めて若者にお礼を言った。
「暖かいおもてなし、ありがとうございます。このところ仕事がとても忙しくて、こんなにゆっくりしたのは久しぶりなの。」
若者はただ、優しく労いの言葉をかけた。「さぞかし大変なお仕事なのですね。」
次の日、何処ともなく遠くを見つめるようにしていた旅人が若者に言った。
「どうやら、もうしばらくは仕事を休めそうだわ。もし良ければ、今日も泊めてもらえないかしら?」
若者は既に旅人のことを好きになっていたので、喜んで泊めることにした。
それからもその女性は、しばらく仕事を休んで若者の家に泊めてもらった。

季節はいつしか秋になっていた。
その頃になると、再びオーク族が攻勢に出てユーを襲撃し、コーブに至っては防衛軍を破って占拠するほどで、また多くの犠牲者が出るようになった。

そんなある晩のこと、若者は夢にうなされて目を覚ました。
女性は、気遣う様子で優しく話しかけた。
「大丈夫? とてもうなされていたわよ。」
「とても恐ろしい夢を見ました。でも、夢で良かった。」
「どんな夢だったの?」
「貴女が出てくる夢なのです。でも、夢の中の貴女は、青白い顔で、とても冷たい手をしていた。そして、馬に乗った貴女の後ろを、死者達の長い列がぞろぞろと付いて歩いていたのです。」
「!!」
女性は驚いた様子で立ちあがったが、やがて悲しそうな表情に変わった。
「ああっ、貴方とはもうお別れしなければならないわ。行き場のない死者達が貴方を通して私に伝言を送ったようね。もう仕事に戻らないと・・・」
「突然どうしたというのですか? 貴女のお仕事というのはいったい・・・」
「それは言えないの。それを知れば、貴方は死んでしまうことでしょう。私は貴方のことを好きになってしまったので死んで欲しくないのよ」
そう言って立ち去ろうとする旅人を、若者は引き留めて言った
「どうか行かないで下さい。貴女が居なくなってしまったら、僕は生きている意味がない。お願いですから、貴女が何者なのか教えてください。」
「・・・そこまで言うのなら。わかったわ。私と一緒に行きましょう。何れにしても、ミノックは明日にも陥落する運命のようだし。」
「あ、貴女は一体・・・」
「私の仕事は、死者をあの世に旅立たせること。私は死神なのよ。」
「!!」
若者は声を上げる暇さえなく、その場に倒れて事切れていた・・・

テーマ : Ultima Online
ジャンル : オンラインゲーム

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